日本の無戸籍者

タイトルが示す通り、日本において無戸籍の人が被る問題とその原因、そして戸籍とは何か、なぜ戸籍で差別が起きるのか、それから、蓮舫氏で話題になった多重国籍や重婚の問題まで、幅広く論じられている。特に印象に残るのは、樺太から引き揚げてきた人の苦労に焦点を当てた第4章で、これはほとんど国家による棄民と言える。同時に第3章では、お金持ちなどが手段を駆使して(本籍を移したり、別の家に入ったり)、徴兵逃れをしていた事実にも焦点を当てている。
著者は記者や県議、代議士などを歴任。5児の母で、自らの離婚、再婚と戸籍問題についてもきちんと触れている。