国策のまちおこし

著者は沖縄タイムス紙記者の渡辺豪氏。沖縄の嘉手納町において、宮城篤実町長が行った「まちおこし」への奮闘を、そのマイナス面も含めて描いた力作。地図を見てもらえば分かるが、嘉手納町というのは、米軍基地が面積の8割以上を占める特殊な町で、土地に余裕がほとんどない。その中で宮城町長は、再開発のための予算(島田懇談会での約1000億円のうち、約200億を嘉手納に確保)獲得と、那覇にあった防衛施設庁の嘉手納移転のために奔走、一応の成功を見る。
ただし成功とは言っても、この再開発のために住み慣れた土地を出て行かざるを得なかった住民の不満は、小さいものではない。前述したように、町内に代替地の確保が難しいため、結局読谷村那覇市へと転出しなくてはならなかった住民が大半を占める。また、結局は「ハコモノ建設」という、基地への懐柔策に終わったのでないかという根本的な問題もある。いずれ、読谷村北谷町との合併を選択せざるを得ないのではないかとの声も強い。
基地の島沖縄 国策のまちおこし――嘉手納からの報告