奥出雲からの挑戦

島根県の仁多町議、町長の後、合併後の初代奥出雲町長を務めた岩田一郎氏の伝記。著者は山陰中央新報の記者。大正14年生まれの岩田氏は、県立松江商業高校に学び、召集、家電店の経営などを経て、政治・行政の道に入った。経理の専門家としての知識を生かし、しいたけ栽培など多くの事業を活発に導入しながらも、仁多交通以外の第3セクターをすべて黒字に導いている。仁多町は横田町と合併したのだが、地方交付税額で言うと合併前の仁多町は36億4千万、横田町は20億1千万円で、いかに上手に国の金を使いながら事業を行なったかが分かる(逆に、町役場職員の給与体系は横田町の方が高く、合併後には仁多町に合わせ、また、リストラによる人員の削減も行なった)。
情報化についても、町全体に光ファイバーを引いてケーブル事業を行うなど、積極的な施策をうっている。
余談だが、奥出雲多根自然博物館(私も泊まった)の多根というのは、「メガネの三城」の創業者の多根良尾氏のことだそうだ。知らなかった。
よみがえった過疎の町 奥出雲からの挑戦 (文藝春秋企画出版)