時事通信ニュースより

現役幹部の責任論浮上も=密約文書「破棄」、実態解明へ
 日米間の核持ち込みなどの「密約」に関する衆院外務委員会の19日の参考人質疑で、密約関連文書が2001年4月の情報公開法施行前に、外務省内で破棄された疑いがあることが分かった。岡田克也外相は記者会見で、事実関係の調査に着手する意向を表明。文書が仮に意図的に破棄されていたことが明らかになった場合は、現役幹部を含めた関係者の責任論が浮上しそうだ。
 参考人質疑で東郷和彦元外務省条約局長は、局長在任中に密約関連文書を5箱のファイルにまとめ、重要文書16点には二重丸を記したリストを作成したが、外務省が先に公表した関連文書には、そのうち8点しか含まれていなかったと説明。「外務省の内情をよく知っている人から、情報公開法の施行前に関連する文書も破棄されたと聞いた」と証言した。
 密約問題を検証した外務省の有識者委員会の報告書も、「文書の不自然な欠落があった」と一部が破棄された可能性を指摘している。
 外相は当初、「そういううわさの信ぴょう性が高いという見通しがあれば調査をしなければならないが、そのようには必ずしも受け止めていない」と、調査には消極的だった。
 しかし、19日の会見では「よく事実関係について話を聞く必要がある」と方針を転換。東郷氏が密約文書を引き継いだとする後任の条約局長の谷内正太郎事務次官や、文書リストを渡したとする当時の北米局長の藤崎一郎駐米大使を念頭に、事情聴取する考えを示した。ずさんな文書管理の一端が国会質疑で明らかになった以上、自浄能力を発揮しなければ外交への国民の信頼回復はおぼつかないとの判断があるとみられる。
 ただ、外務省の文書管理規則では、破棄した文書に関する記録簿の保存期間は5年間となっているため、具体的証拠が見つかる可能性は低いとの指摘もある。現役幹部の責任問題にもつながりかねないだけに、関係者への聴取などで真相がどこまで究明されるかは不透明と言えそうだ。(2010/03/19-22:08)

官僚の「情報隠し」は今に始まったことではないが、これをきっかけにきちんと情報を公開するクセを身に着けて欲しいものだ。岡田外相は、30年経ったら外交文書を公開するとの原則を掲げてくれたようだが、それを官僚が実行してくれるかどうか・・・。この点については、米国の制度を見習うべきだろう。