電子立国は、なぜ凋落したか

まず冒頭の第1章で、日本の電子産業がもはや見るかげもなく凋落してしまったことを統計的に知らされる。2000年には自動車産業と電子産業はほぼ肩を並べていたが、前者が伸びたのに対し、後者は巨額の貿易赤字をたたき出してしまっているのである。なぜそうなったのか。テレビ、通信機器、半導体など産業別に、そして、ムーアの法則などの理論面での考察も合わせて詳述される。確かに戦略の誤りはあるのだが、当事者の観点からしたら大胆な戦略変更も難しいだろうなというのが正直な感想。特に、日本の技術者の矜持に関わる部分においては。例えば、パソコンを5年以上もたせるのはオーバースペックといわれても、壊れにくい製品を作りたいと思うのは技術者の人情だろう。