2013-01-01から1年間の記事一覧
コンピュータ(の歴史)に関する分かりやすい入門諸。著者はスミソニアン航空宇宙博物館にキュレーターとして勤務する技術史家。
ルポライター速水健朗氏の著作。日本の戦後社会が大きな転換期を迎え、また、象徴的な事件として「阪神大震災」「地下鉄サリン事件」が起きた1995年を、政治、経済、国際、テクノロジー、文化、事件などから振り返る。私の1995年と言えば、ずるずる…
猪瀬直樹氏との不倫関係を描いた小説として、一部で話題になっている短編小説集。著者の中平まみ氏は、それなりに有名な人だが、小説は始めて読んだ。一読、変な小説だというのが正直な感想。カギカッコの使い方や改行の仕方があまりにも自由。私はさほどそ…
ホスピス勤務を辞めて、アメリカ南部の田舎の豪邸で、老人を介護する仕事に応募した若い女性が主人公。この「家」はもともと、裕福な銀行家のものだったが、その彼が黒人の召使2人を縛り首にしたところから、次々と「呪い」がかかる。この家の秘密を探ろう…
樋口美雄+財務省財務総合政策研究所の編著。人口減少社会で、いかにうまくワークライフバランスを取っていくかがテーマで、全12章と特別講演から成る。
タイトルは「熱い視線」のもじりなのだろうな。カベルナリア吉田氏の紀行文集で、今回は、各地の鉄道の「支線」がテーマ。JR北海道の函館本線・砂原支線のような田舎の路線から、南武線の浜川崎支線や山陽本線・和田岬支線のような都会の穴場まで。カベル…
残念ながら出張は一泊のみ。「雲の上のホテル」というところに泊まった。ここも建物としてはスタイリッシュだが、他の宿泊者はいない様子であった。大浴場が遠く、戻る間に寒くなるのがたまにキズ。 帰りには、津野町、東みよし町、つるぎ町で地域情報化政策…
久しぶりに地域情報化政策の取材。坂出でレンタカーを借り、大豊まで高速に乗ってあとは下道。はるばる檮原町にたどりついた。檮原の町役場は独特で、最初は役場と気づかないほどのおしゃれな建物。外観に木材を多用している。
アメリカでトヨタ車が危険としてバッシングされたことがあったが、著者(時事通信社の記者)はこういった反応に、アメリカ型のポピュリズムが現れていると見る。本来は危険でないものを、うけ狙いのために大げさに政治家などが叩いているというのだ。また、…
タイトルの「殲滅」とはまた、おだやかならぬ表現だ。堀井憲一郎氏が、講談社のメールマガジンに連載した記事をまとめたもので、中身としては一種の情報社会論であり、文明批評。特に、「ロスジェネ」という言い方に疑問を呈している。元は「自堕落な世代」…
上記の芳賀氏はまあ地図界の長老と言ってよいが、本書の著者の今和泉氏はまだ若者というべき年齢の人である。子どもの頃から、空想の地図作りに熱中し、現在ではパソコンで、まるで本物のような地図を作る(表紙も、どこか実際の場所の地図のようだが、よく…
古地図の専門家で、書肆「之潮」の代表でもある芳賀ひらく氏の著作。江戸時代の古地図と、明治や現在の地図とを対象しながら、江戸・東京の地形や文化を読み解く。江戸時代は長いので、当然のことながら、江戸時代の中でもさまざまな地形の変化(例えば海岸…
映画版のSPECは、テレビで放映されたものとは随分と中身が違う。全体がよりマンガ的になっているのみならず、テレビ版ではまだ「刑事もの」の色彩が強かったが、映画版では、超能力(スペック)集団同士の「世界戦争」のようなものとなっている。この「結」…
「ゆとり教育」のスポークスマン、かつ映画評論家の寺脇研氏が、出身母体である文部科学省について語ったもの。率直に語られている部分も多いと思うが、自らのふるった権力については、やはり鈍感ではないのだろうか。「政治家にきちんと従う」のが文部科学…
滋賀県立大学の細馬宏道教授の著作。細馬氏がこのような、アニメーション表現史に特化した本を書かれるとは想定していなかった。動きを表現するために、ウィンザー・マッケイやスコット・ブラッドリーといったアニメーターたちがいかに苦心し工夫を重ねたか…
秋田内陸縦貫鉄道からJR三江線まで、地方で奮闘する鉄道を取材したもの。松浦鉄道が、駅間が200メートルと狭くなっても、一千万円程度で新駅を作っていたのが、バリアフリー法のために安く作れなくなってしまったという話には複雑な思いだ。
大阪大学生命機能研究科の近藤滋教授の著作。「なぜ巻貝の巻き方にはいくつかのパターンがあるのか」「なぜシマウマは縞模様なのか」「なぜキリンはあんな模様なのか」といったことは、子どもの頃に疑問に思っても、そうしたことは大抵忘れてしまうのだが、…
あ、こちらも講談社現代新書か。大東文化大学准教授の山口氏が、漢字の機能について語る。
著者は首都大学東京システムデザイン学部准教授で、被爆者の体験談および当時の記録写真を、グーグル・アース上にマッピングした「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」を作った。著者の「デザインマネジメント概論」という授業では、受講者にtwi…
大前研一氏の新著。こちらは、「プレジデント」誌の連載が元。ジャック・アタリや三浦雄一郎との対談が付されている。日本の将来への危機感という点では山田氏の本と共通している。「3500万円持って死んでいくことが本当に幸せなのか。高齢者が金を使い…
山田昌弘氏の新著だが、書下ろしではなく、基本的に「週刊東洋経済」に書かれた短文をまとめたもの(いくつか、他の雑誌からのものも含まれている)。 表題で示された問いに対する端的な答が書かれているわけではないのだが、日本社会がいかに高齢者を優遇し…
「十和田奥入瀬芸術祭」の関連書籍だが、作品紹介などではなく、いわばサイドストーリー集。小林エリカ、石田千、小野正嗣氏の小説、畠山直哉氏の写真、菅啓次郎氏のエッセイなどが収められている。
これは是非読まれるべき良書。 現在ベイズ統計学は、例えばグーグル翻訳など、現在さまざまな所に応用されているが、そこに到る道のりは、必ずしも平坦ではなかった。本書においては、あまり知られていないベイズの生涯や、ベイズの劣らぬほど「ベイズ統計学…
私も大学人の一人として、本書に書いてあるようなことはおぼろげには知っていたが、就職率トップが福井大学であることには少し驚いた(2位は九州工業大)。20ページで、「易化」に「えきか」とフリガナが振ってあるのだが、これはやめてほしいな。「易」…
著者は通訳等として日本とギリシャの橋渡しをしてきた。財政破綻したギリシャだが、その実際の生活がどのようなものか活写する。若者の失業率など特に高いのだけれど、多くの人はたくましく生き抜いている。ただ、税金を払いたがらず、領収書を発行しなけれ…
タイトル通り、ナショナルジオグラフィック誌が撮った日本の写真を解説とともに紹介した書。1896年の、明治三陸大津波の写真も掲載されている。比べては申し訳ないが、当時の死者は2万7千人だから、東日本大震災よりも死者は多い。関東大震災も、死者…
ウサギの日本文化のおける位置づけを様々な角度から探ったもの。目次は以下の通り で、第一部は信仰が、第二部は狩猟が中心。第一部 兎神信仰の展開 第一章 ウサギの心象史 第二章 ウサギの信仰史 第三章 ウサギの神性 第四章 八月十五日夜の行事と兎神 第五…
音楽学の大御所・渡辺裕東大教授の新作。これは名著。「旧制校歌」「民謡」「ソノシート」「鉄道音響」などを主題として、音楽と音楽ならざるもの、正調と非正調との境界を問い直すスリリングな試み。私も鉄道ファンの一人だけれど、鉄道に関する音響につい…
筒井康隆御大の作品。『文學界』に2005年から2006年にかけて連載されていた。あの『大いなる助走』の続編的な色彩が濃く、文壇の裏側や、文学の置かれた状況などが語られて、そこまでは面白いのだが、最後になって作中に「筒井康隆」が登場し、北宋社という…