知識論のための覚書

同志社大学教員だった竹内成明氏の著作で、原稿そのものは1976年に書かれたものが基だから、既に30年以上前である。実は氏の著作はこれまでもかなり読んでいる(「闊達な愚者」「コミュニケーション物語」「顔のない権力」)のだが、その魅力は平易な語り口にある。本書は知識・情報論。私にとっては、五章まではあまり得られるものはなかったのだが、第六章で、オデュッセイアを誘惑するセイレーンを、(理性中心主義に伴う)「痛みへの悼み」と捉えて視座を逆転するところにはハッとした。
知識論のための覚書