レーガン

日本語で読めるレーガンの評伝としては初の著作だそうだ。私も含め、どうも「インテリ」は、レーガンというと馬鹿にする傾向がある。確かに、減税すれば税収が増えるという「ラッファー曲線」に基づいた財政政策などは「ブードゥー」と言われても仕方がない。しかし、レーガンというのは結成て馬鹿にしたような人間ではなく、むしろ魅力にあふれた人材だったということが、本書で分かった。
レーガンは決して、裕福な生まれではない。生まれたのは中流から滑り落ちそうな家庭であり、ライフセーバーのアルバイトをして大学の学費を払い、就職難の中ラジオのアナウンサーという職を得、運もあってハリウッドで俳優となるというのが、若き日のレーガン氏の半生である。
確かに大学では優秀とは言えず、また、経済や政策の細かなところまで理解していたかどうかは疑わしい。しかし、重要な勘所は心得ており、また、読書家、かつ、暗記は特異で細かな数字などを諳んじることもできた(俳優というのはセリフを暗記しなくてはならない仕事、ということもあるかもしれない)。
本書はレーガンについて、ほぼべた褒めと言っていい。むしろ気になったのは、妻であるナンシーのことである。ナンシーは人事に口を出し、ナンシーに嫌われると更迭、ということが繰り返されてきたらしい。これはどうなんだろう?だとすれば、ナンシーの人間性についても、それなりに詳しく検討する必要があるのかもしれない。それと、レーガンの子どもたちはみな、レーガンおよびナンシーに反抗しているが、それは何故なのだろう?
レーガン - いかにして「アメリカの偶像」となったか (中公新書)