日本の携帯電話端末と国際市場

日本の携帯メーカーは、国内では高いシェアを分け合っているものの、海外では高いシェアを取れない。1985年時点では、トップ5に3社入っていた(NECが2位、沖が3伊、パナソニックが5位)が、2001年にはすべて姿を消した。最新の数字を探してみると、2009年時点では、ノキアが4割以上のシェアを占めて1位、サムスンが約2割で2位、以下LG電子、モトローラソニーエリクソンとなっているhttp://www.mobileisgood.com/statistics.php#current。なぜ日本の携帯メーカーが海外でシェアを取れなくなってしまったのか、が本書のテーマである。
この問題については、第2世代ケータイの通信規格GSMに乗り遅れたことや、国内市場に注力し海外に積極的に取り組まなかったことが要因として指摘されているが、著者はそれだけではないと言う。通信キャリアがメーカーよりも影響力が大きくブランドの確立がなされていないことや、国内での高機能戦略が海外で通用しないこと、モジュール化によって日本の先進技術の優位性が失われていることなどが、複合的な要素となっていることを明らかにする。
とはいえ、キャリア主導であるからこそ、日本人は高機能のケータイを(インセンティブのおかげで)安く手に入れることができる、というメリットを享受してしまっている。ここから抜け出さなくてはならないとしたら、それなりの痛み(たとえば、端末の高価格化)が要る。果たして日本人はそのような選択をする(あるいは政策当局がそうさせる)だろうか。
日本の携帯電話端末と国際市場―デジタル時代のマーケティング戦略