毎日新聞ニュースより

選挙:参院選 民主・自民、マニフェスト発表 「消費増税」競い合い
 <分析>

 ◇菅首相も「10%」言及
 民主、自民両党は17日、参院選マニフェスト政権公約)を発表した。菅直人首相は東京都内で記者会見し、消費税増税について「税率については自民党が(参院選公約で)提案している10%という数字を一つの参考にさせていただきたい」と述べ、具体的な税率に初めて言及した。また「10年度内にあるべき税率や、逆進性対策を含む消費税の改革案を取りまとめていきたい」と明言した。自民党マニフェストで消費税率を10%としたうえで「超党派による円卓会議」を提案した。参院選は、与党・民主党と最大野党の自民党がともに消費増税を掲げて戦う異例の展開となる。(2、3面にクローズアップ、5、6面に関連記事、21、23面に各党マニフェストの要旨)

 首相は記者会見で消費増税について「幅広い合意を得ることができれば超党派で法案を提出し、成立を目指す」とも語った。民主党マニフェストに明記していない税率10%に言及したのは、自民党への誘い水の意味がある。税率引き上げを衆院選で国民に問うかについては「原則的には大きな税制改正を行う時には、実施前に判断をいただくことが必要だ。ただ、その進み方は今の段階で何年度からどうするかは言うことが難しい」と述べるにとどめた。だが、玄葉光一郎政調会長は「最速では12年度秋に上がる」と語った。

 首相の「10%」発言に、民主党内では早くも反発が出た。輿石東参院議員会長や平野博文官房長官樽床伸二国対委員長細野豪志幹事長代理らが17日夜、東京都内の日本料理店に集まった。小沢一郎前幹事長に近い議員が多く、会合後、高嶋良充参院幹事長は「期限を切るとか何%引き上げるとか言ったのならば勇み足だ。選挙に悪影響を及ぼす」と批判した。

 昨年のマニフェストは、子ども手当などで家計の可処分所得を増やし、内需主導の経済成長を目指すとした。しかし、事業仕分けなどで確保できた恒久的な財源は2兆円強。国と地方の長期債務残高が国内総生産(GDP)の2倍近くまで膨らみ市場の視線が厳しさを増す中で、財政赤字を膨らませるのは難しい。「家計への直接支援」から、路線を転換せざるをえなかった。

 このため、参院選マニフェストでは「早期に結論を得ることを目指し、消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始」と明記。ただ、法人税は「引き下げ」とした。首相が目指すのは「強い経済、強い財政、強い社会保障」。増税で財源を確保し、医療、介護など成長が見込める分野に集中的に投入すれば、新たな雇用が生み出され、経済成長を促せるとのシナリオだ。同時に、財政再建社会保障の充実も図れるとする。外需を取り込むため、インフラ輸出の促進も盛り込んだ。

 ◇自民、保守色強める
 自民党参院選公約で政府目標を上回る「名目4%の経済成長」を掲げ、消費税については年金、医療、介護の社会保障給付と少子化対策に全額充当することを前提に「税率を引き上げる」と明記した。食料品の複数税率など低所得者への配慮も検討する。

 谷垣禎一総裁は17日の記者会見で、民主党の公約を「われわれのカーボンコピーのようだ」と批判、自民党こそ財政再建の「本家」だと強調した。だが、首相が「税率10%」に言及し、経済・財政分野で民主党との違いを示すのは一層難しくなった。

 このため、選挙戦では「進取の精神を持った保守」(谷垣氏)を前面に出し、菅政権との差別化を図る方針だ。公約の冒頭に党是の「自主憲法制定」を位置付け、国民投票法の施行を受けて「憲法改正原案の国会提出を目指す」と明記した。民主党が目指す夫婦別姓制度や外国人地方参政権への導入反対も盛り込んだ。

 外交・安保分野では、民主党政権の迷走で日米の信頼関係が大きく損なわれたと指摘。在日米軍再編の着実な推進▽インド洋上での補給支援活動の早急な再開▽自衛隊を迅速に海外派遣できる国際平和協力法(恒久法)制定−−など与党時代からの主張を並べ、民主党政権との対立軸を示した。

 教育分野でも保守色を強めた。民主党政権の教育政策を「日教組の偏向教育丸のみ」と批判し、教職員組合の政治的中立を確保するため教育公務員特例法違反に罰則規定を設けるよう提案。政府が見直しを進める教員免許更新制度に実効性を持たせることも打ち出した。【中田卓二、坂井隆之、小山由宇】

毎日新聞 2010年6月18日 東京朝刊

自民党に続いて民主党も消費税10%と発言しているようだが、この10%という数字には、きりの良い数字にしたのではないか、との疑いを感じる。確かに、変な数字よりは1割だと計算しやすい。しかし、きりの良さにひきずられてよいのだろうか。
これで自民党はどう出るのだろう。ひょっとして、痛みをエスカレートする増税合戦が始まるのか。
私自身は、消費税より相続税増税を先にした方がよいと思っている。消費税をいずれあげざるを得なくなる時期が来るとしても。そういえば最近、商工ファンドhttp://sfcg.g.ribbon.to/index.htmlの大島会長が資産隠しで捕まった。ある水準以上の金が溜まると、人間の堕落は急加速するのではないか。それが遺産ならなおさらである。