高山宏氏が、雑誌「UP」に63回連載した「かたち三昧」に、漱石論を4本付け加えたもの。連載の一つひとつは2ページしかなく、やや物足りないけれど、まとめて読むことで氏の中に広がる表象文化の世界を堪能できる。Mise en abimeという語は「紋中紋」という意味だったのか。ジイドが唱えていたのも知らなかった。紹介されているダビッド・ベー『大発作』などもおもしろそうだ。漱石論は夢十夜や明暗を中心としたもので、こちらも面白い。版元の羽鳥書店というのは、東大出版会の担当編集者だった羽鳥和芳氏が定年後に設立したものであるそうだ。