政治を科学することは可能か

河野勝早稲田大学教授の論文集。なぜ安倍内閣の支持率は何度も復活するのか、東日本大震災の被災者にどのような態度を取るのが正しいのかといった思索が展開されるが、もっとも興味深かったのは、憲法を扱った第九章「なぜ憲法か」だ。憲法と民主主義との矛盾を剔抉し、どちらも暴挙や専制から人々を守る制度ではあるが、「民主主義と憲法とは本質的に逆の方向を向いている」と指摘する。「行政権」が誤訳であるという指摘にもウロコが落ちた。本来、「行法権」あるいは「執行権」と呼ぶべきだとするのである。
政治を科学することは可能か (単行本)