FAKE

ゴーストライター騒動発覚後の、佐村河内守夫妻に密着して撮影されたドキュメンタリー。告発した神山さん、告白した新垣さんとは別の視点から事件が描かれる。障害者手帳は返納することになったが、佐村河内氏がなんらかの聴覚障害を負っていることは間違いなさそうであるし、佐村河内氏と新垣氏との「共同作業」がどのようなものであったのかも、真実は分からない。ただ、佐村河内夫妻の夫婦愛はなぐさめにはなる。
最後、森監督は佐村河内氏に、本当に音楽を好きなのか、と迫る(その前段として、外国人ジャーナリストが、なぜ楽譜の読み書きを覚えなかったのかと詰め寄る場面もある)。そしておそらく初めて、佐村河内氏がキーボードを演奏し、作曲して自作曲レクイエムを演奏する場面がある。この曲は素朴なものだが、佐村河内氏が実際に作ったのだとしたら、悪いものではない。佐村河内氏と新垣氏の「共同作業」「合作」だとする主張にも、一定の説得力はある。