陰謀のスペクタクル

ニューヨーク大学准教授から早稲田大学教授となった吉本光宏氏の著作。タイトルにある通り、「陰謀」という視角から考える映画論。「闘争の時代は既に始まっている」などとするとってつけたような抽象的な結論はしょぼいけれど、結論ではなく、思考の過程を楽しむ本だろう。その意味では大変おもしろい。
1章「陰謀とイメージ」では主として「JFK」や、「ボーン・アイデンティティ」などの、陰謀をテーマとした映画を扱う。2章「陰謀装置としての映画」は映画自体のテクノロジーと陰謀との関係を「カリガリ博士」や「ドクトル・マブゼ」、「太陽はひとりぼっち」「欲望」「パララックス・ヴュー」などから論じる。第3章「陰謀・メディア・民主主義」は、「スミス都へ行く」「バットマン」「インセプション」などを使い、「熱狂」と「冷笑」以外の政治との関わり方を模索する。
陰謀のスペクタクル 〈覚醒〉をめぐる映画論的考察

欲望 [DVD]

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太陽はひとりぼっち [DVD]

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パララックス・ビュー [DVD]

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