政党政治の混迷と政権交代

東大とイェール大との共同研究をまとめたもの。最近の政治の混迷状況(例えば一年程度しか持たない政権など)について、主として計量政治学的な手法を用いて分析がなされる。使われている量的な分析があまりに高度で、ここまでの手法を用いなくてもよいのではないか、と思う論文もあるほどだ。
どの論文もそれなりに得られるものはあるが、最も驚いたのは、グレゴリー・ノーブル氏による第3章「財政危機と政党戦略」。結論から言えば、日本における財政危機は、政治の責任ではなく、人口構造の高齢化や金融危機が主因であって、むしろ政治はよくやっている、それも官庁出身の総理秘書官らのおかげだ、とするもの。これは研究者たちの合意を得られている結論なのだろうか。もしこの結論が妥当であるなら、現在のマスコミの論調はあまりに政治家に酷だ、と言わざるを得ない。
政党政治の混迷と政権交代