映像から音を削る

武満徹が亡くなったのは1996年だから、もう15年前のことになるのだが、未だ「同時代人」という思いが抜けない。私の学生時代など、武満は文化人として様々な雑誌等に寄稿していたからだ。
本書は、武満の映像論や映画音楽論を中心にまとめたもの。もちろん時代の変化はあるが、今読んでも新鮮なものが多い。例えば、映画界(映画産業)は滅びても、映画は滅びないと、様々な文章で強調している。テレビにおける音響の過剰を指摘したのも武満だった。イタロ・カルヴィーノ好きというところも、私にはうれしい。
映像から音を削る 武満徹映画エッセイ集