革新幻想の戦後史

教育社会学者の竹内洋氏が、雑誌『諸君』に連載したもので、「革新」が支配的であった戦後の一時代を、自分史と重ね合わせながら叙述する。第1章で、三島由紀夫『宴のあと』のモデルとなった有田八郎について詳しく書かれているのは興味深い。有田の衆議院での選挙区は、著者の故郷である佐渡を含む新潟県第1区で、そこで北一輝の弟の北レイ吉(レイ=日+令)などと闘うのである。その他、第3章では東大教育学部の細かな人事を論じ、第5章では小田実を、終章では石坂洋次郎といった具合に、つまみ食い的に対象が選ばれる。
革新幻想の戦後史