漢字検定のアホらしさ

かつては「週刊文春」に連載されていた、「お言葉ですが・・・」シリーズの第13巻に当たる。著者の高島氏は、実は因縁浅からぬ仲で(こんなことを言ったら誤解されるかもしれないが)、母にとっては同じ中国文学を研究する同業者であり、私にとっては大学・学部の先輩、妻にとっては高校の先輩に当たる。
中身は、言葉に関する雑多なエッセイ集で、特に表題作は、漢字検定の出題者がいかに言語感覚に乏しいか、実際の問題から示すもの。私は氏の批判する漢字検定1級保持者だけれど、確かに問題の質は低い。なんというか、漢和辞典があればバカでも出題できるものが多く、練られた問題がないのだ。それを高い検定料を取って実施していたのだから、大久保親子の罪は深いだろう。体制が変わって多少問題は良くなるのだろうか。藤堂明保白川静との確執を描いた「両雄倶に立たず」も面白いが、私としては加藤常賢の立ち位置についてもコメントが欲しかった。
お言葉ですが…〈別巻3〉漢字検定のアホらしさ