監査難民

日本の四大監査法人の一つで、トヨタ自動車などの優良顧客も多く抱えていた「中央青山監査法人」が、カネボウ粉飾決算に絡んで厳しい処分(二ヶ月間の業務停止命令)を受け、迷走してゆく。一部は「あらた監査法人」を立ち上げ、残留した会計士たちは「みすず監査法人」と名前を変えて存続するが、結局解体の道を選ばざるを得なくなった。金融庁側も予想外であったこの解体までの経緯を詳しく描く。
監査という制度自体に問題が内包されている。企業から依頼を受けて監査を行う以上、どうしても企業サイドに立って粉飾を行ったり、荷担する方へと向かうインセンティブが存在するだろう。私は全くの門外漢だが、日本の資本主義の健全性を保つためには、監査や会計士の仕組みそのものを再考する必要があるのかもしれないと感じた。
監査難民 (講談社BIZ)