終わらない「失われた20年」

 きたたんこと北田暁大・東大教授による時評集だが、何と言っても読みどころは上野千鶴子氏の文章を徹底批判した第1章「脱成長派は優し気な仮面をかぶったトランピアンである」だと思う。元となった上野千鶴子氏の新聞記事は話題になったので私も読んだが、ここまで徹底的に批判を加えるエネルギーには感服した。上野氏だけでなく、左派が「ネタからベタへ」、左派ナショナリストへと変容してしまう危険を徹底的に暴き、下部構造(経済)を考えないと安倍政権を倒すことができないと説く。是非一読していただきたい。
終わらない「失われた20年」 (筑摩選書)