批判する 批判されるジャーナリズム
慶應の大石裕教授の著作。朝日新聞社の雑誌『Journalism』などに書かれた文章を集めたもの。よくも悪くも常識的に書かれていて、悪い本ではない。だが、ジャーナリズム論って、いったいなんだろう、とも思う。本書の中で大石教授は、ジャーナリズムに対する様々な注文を述べているが、ジャーナリストは聞き耳を持つだろうか?良心的なジャーナリストなら持つかもしれないが、新聞記者やテレビ記者は基本的にチームで仕事をしていて、本人の裁量は小さいだろう。そんなこと言われても・・・と思うのではないか。それと、ジャーナリズム論の学者はやはり圧倒的に、何らかの知的な強みをジャーナリストに対して持つべきではないのだろうか。それは、数理的な分析手法かもしれないし、海外の事情について通じていることかもしれないが、そうでなければ、ジャーナリスト自身も次々と大学教授へと「天下り」する中、単にバカにされるのがオチではないのか。
それともう一つ、査読についても考えさせられる。本書の論考はすべて「査読なし」である。マスコミ学会でもなんでも、本書の論考を学会誌に投稿したら、おそらく査読は通らないだろう。新規性や、論理展開の点で、文句が付くであろう。自由に依頼原稿を書くには、うまく地位を得て大石先生くらい偉くなるしかなく、しかし、地位を得るためには、つまらない査読者に注文に、営々と応え続けなくて、査読論文の数を増やさなくてははならない。
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