映画の奈落

今日はもう1冊も映画本。東映は「仁義なき戦い」のヒットを受け、まだ現役のヤクザである福井の川内組組長・川内弘をモデルにした「北陸代理戦争」を松方弘樹主演で映画化、1977年に公開する。確かに川内の生き様は、映画にしたくなるほどドラマチックであり(親分や盃を受けた組長とも、平気で殺し合う)、映画のネタとしては最高の素材といえたが、公開直後、川内は対立する組に暗殺されてしまった。映画が現実の殺人を生んだとして話題になった事件だが、この詳細を著者は丹念に調べ、記述してゆく。脚本を担当した高田宏治までもが、ヤクザ絡みの事件に巻き込まれるという結末にも驚いた。