現代の階層社会 3

現代の階層社会の3巻目。最も印象に残ったのは、第20章「格差・信頼とライフチャンス」。「10%有意」をどう解釈するかは人によって違うだろうが、各県ごとのデータにおいて、「自殺率」と「信頼感」との間には確かに負の相関が表れている。また、「アルコール消費」「共働き世帯割合」が正の、「信頼感」「スポーツ行動」「貯蓄現在高」が負の影響を与えているという、説明力の極めて高い「自殺率予測モデル」を作ることができる。著者の与謝野有紀氏は、「格差の拡大は、信頼感を墓石、結果人々の生命をも脅かすような社会状況を生み出す」(p.304)と総括している。