独裁者の教養

今日はたまたま、こんな本を読んでいた。まだ若いライターが、独裁者が若い頃にどんな教育を受け、どんな教養を積んだのかに重点を置いて書かれた本。残念ながら、金正日については、章を割いて書かれてはいない(コラムの中に短くは出てくるが)。章を割かれているのは、毛沢東ヒトラーポルポトスターリンなどである。リークワンユーを混ぜるのは、ちょっと彼に気の毒な気もする。ポルポトが好人物と見られていたというのは意外だが、まあ好人物でなければ、相手を油断させ、大量粛清をすることはできなかったのかもしれない。康生にしたって、一部の人には温厚な学者と映っていたのだから。
さて、本書の魅力はむしろ、合間に挿入された、中国・ミャンマー国境のワ族支配地(いわゆる「黄金の三角地帯」であり、鮑有祥という名の独裁者が仕切っている)への密航記である。結果として大した事件は起きないのだが、読むだけで緊張感を強いられる。
独裁者の教養 (星海社新書)