フィルムメーカーズ

第一章ではブラッケージやマヤ・デレンジョナス・メカス、クリス・マルテルといった海外の、そして第二章では松本俊夫かわなかのぶひろ、飯村隆彦、金井勝、鈴木志郎康吉増剛造、出光真子、伊藤高志、原将人、石田尚志といった現代日本の、個人映画作家に対するインタビューがまとめられている。芸術家の出自や経歴はそれだけでなかなか面白い。かわなか氏が中卒であることや(これは芸術家として決して恥じるべきことではない)、石田氏が若いころ沖縄で絵を描いていたことなど、初めて知った。伊藤氏の名作「SPACY」がどのように撮影されたのか、詳しく説明されているところもありがたい。あの体育館には、大変な数の「チョークの印」がついていたそうだ。
そういえば、原氏の代表作「初国知所之天皇」の上映会が、今月末に岡山、そして奈良であるという。見てみたい気持ちはあるのだが、6時間という上映時間の長さに、ややためらっている。映画中で、16歳の宮崎の女子高生が自殺するエピソードにかなり重きを置かれているのだが、その自殺の原因がNHKのディレクターに騙されたためいうのにも驚いた。これは映画中では触れられていないそうだが、悪いじゃないか、NHK!
フィルムメーカーズ―個人映画のつくり方