日本の論点2011

日本の論点」はなるたけ毎年読むようにしている。「対論」形式が本書のキモだと思うのだが、87個挙げられてある論点の大半が、論者は一人で対決の形式を取っていない(対論形式になっていても、論点79「終身刑を創設すべきか」のように、両者とも死刑廃止論者というバランスの悪い人選も見られる)のはやや残念。中身についても、例えば斎藤環ツイッター論など、何も言っていないに等しい。黒鉄ヒロシの大相撲論も要らない。
もちろん興味深い論文も多数ある。医師であり、脳死した長男の臓器提供を行った杉本健郎氏が自らの迷いを記した手記などは、読んで涙を禁じ得なかった。拉致問題について、首相が北朝鮮に直談判せよとの辺真一氏の文章も面白い(重村智計氏は、キム・ジョンウン金正日の三男ではない可能性を指摘しているが本当だろうか?)。
日本の論点2011 (文春ムック)