行動ゲーム理論入門

タイトル通り行動ゲーム理論の入門書なのだが、得られたものは多い。まず、「行動経済学」と「実験経済学」の違い。部外者からするとどちらも同じように聞こえるが、行動ゲーム理論を研究する著者は実験経済学者の範疇に属する。簡単にまとめると、行動経済学は心理学に属し、人間の利他性や非合理性を強調するのに対して、実験経済学は経済学に属し、人間の行動を利己的、合理的(というより限定合理的と言ったほうが正確かもしれない)に解釈できるとの前提に立ち、最近は特に実験経済学は「レベルK理論」(相手の合理性のレベルを考えて、自分の出方を決める)に依拠する場合が多い。もっとも原始的な考え方をする人物がレベル0。相手をレベル0と考えて最適な戦略を選ぶ人物がレベル1。相手がレベル1と考えて最適な戦略を選ぶ人物がレベル2・・・(以下同様)となる。相手のレベルが分かれば、自分が有利に立つことができる。
第7章ではシェークスピアの「夏の夜の夢」、第8章ではギボン「ローマ帝国衰亡史」が取り上げられるなど、道具立ても面白い。
行動ゲーム理論入門