図説 金枝篇

金枝篇については、いったんは岩波文庫の5冊本を読み始めた(1だけ読み終わった)のだが、こちらに乗り換えることにした。本書は、長い長い金枝篇を、サピーヌ・マコーマック氏が再編集し、多数の写真や図録を加えたもので、(おそらく)元の本より読みやすい。それでも2段組約400ページあるのだけれど、充実感を持って読み終えることができた。ネミの祭司職に関する奇妙な掟(祭司になるには現在の祭司を殺さなくてはならない)の謎を、世界各地の民俗や神話を渉猟することで読み解く。
第七部第八章の、「体から離れた霊魂」の話が、私には一番面白かった。特に、ヒンズーの「プンチキン」という魔法使いの話。王妃を幽閉したプンチキンの魂は、密林の中の壺の下の鳥籠の中のオウムに宿っている。王妃の息子は、妖鬼に買ってこのオウムを手に入れ、オウムの翼をむしりとると、プンチキンの腕が・・・。元の神話はストレートな結末だが、何かもうひとひねりして、短編小説にでもしてみたいところだ。
図説 金枝篇