関係の化学としての文学

精神科医斎藤環氏の文学論集。すべての関係は性的関係であることを前提に読解する。各章ごとに「要約」がついている親切なつくりとなっている。取り上げられている作品も、私は未読のものが多いけれど、桐野夏生金原ひとみ谷崎潤一郎中上健次など、魅力的なラインナップとなっている。特に中上健次については(高山文彦による評伝『エレクトラ』に依拠する部分も大きいが)、イメージを覆されるような事実をいろいろと教えられた。
関係の化学としての文学