ハイテク社会を生きる

非常にお世話になっている北樹出版から出た本の悪口は言いたくないのだが・・・。私にとって読んで意味があったのは、作家の瀬名秀明氏が書いた第1章と、遺伝子組み換え作物について書かれた第6章くらいで、残りの章はほとんど中身がスカスカである。編者の一人である調氏が書いた第5章など中身の薄さがひどい。佐藤俊樹氏による二次文献だけで、情報化について論じようだなんで、あまりにもバカにしている。
語り口は平易で、若者の「科学離れ」を憂い、科学について考えるように誘いたいという気持ちは、分からなくもないが、若者に必要なのはまさにその科学の「中身」であって、科学の意味を問う科学論はその「添え物」程度でよい。もうこのブログには何度も何度も書いているので古くからの読者にとっては耳タコだろうが、その点で私の持論は、運転免許の取得のために難しい自然科学の試験を必須にせよ、である。年齢によって到達水準を変えてもよい(もちろん若い方が難しくする)。たとえば、大学教養程度の数学・物理・化学・生物・地学・情報科学の試験を突破すれば、15歳でも運転免許が取得できるとしたら、早く車に乗りたい子供たちは目の色を変えて勉強するだろう。難しい理科系の勉強が、興味などというきれいごとで万人に始められるものか。
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