幻想の島 沖縄

著者は日経の記者で、2005年から2008年まで那覇支局長を務めた。沖縄の病を「日本への依存」だとし、基地の返還、振興策の縮小を主張する。特に基地については、地主は無論のこと、基地で働く労働者も、返還反対に回ってしまった。沖縄の人にとっては、耳が痛いかもしれない主張も率直に語っているところが好感を持てる。
特に注目したのは、沖縄は左翼の島ではなく右翼の島だ、という指摘だ。沖縄民族主義に染まり、日本政府を批判するというのは、確かに「沖縄ナショナリズム」と呼べる。それと、基地反対運動と行政側とがほとんど馴れ合っている(アメリカには「カブキ」と呼ばれている)というのも、本土のメディア関係者は知っていても書けないことだろう。
もう一つ、米軍の中にあるヒエラルキーも、私は知らなかった。陸軍、海軍、空軍の関係者は紳士であり、沖縄住民にも慕われているが、事件や問題を起こすのはたいてい、ヒエラルキーの最下層に位置する「海兵隊」なのである。一番危険な任務を負わされ、貧しい生まれの多い彼らにも言い分はあるのだろうが、問題児が多いことは否めない。
幻想の島・沖縄