厚生労働省崩壊

現役の官僚(医系技官)による内部告発の書(そういえば、以前「お役所の掟」を書いて内部告発した故・宮本政於氏も、厚生省の医系技官だった)。著者は米国留学から帰り、某研究所に勤めていたが、そこでまじめに仕事をして嫌われ、厚生労働省の方に「追いやられた」という特殊な経歴を持つ。そこで見たものは、国民の健康や安全を守るより前に、自分の利益を守ろうとしている官僚たちだった。医系技官や、技術系職員というと、優秀な人が多いのではないかと思っていたが、著者によれば、例えば医系技官は、現場を離れてしまっているため、医師としてはもはや使いものにならないと言う。海外の研究をフォローしているわけでもない。ただおいしい地位をむさぼっているだけだ。
この本で大きな紙幅が割かれているのは、バイオ・テロの問題である。天然痘テロが日本で起きたら、大変な問題になると著者は危惧し、関係各部署間の連携が必要と説く。当然の話なのだけれど、それすらできないくらい、厚生労働省が腐っているというのだからただごとではない。
厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日