読売新聞ニュースより

「きぼう」命名者名簿を廃棄…名付け親誰なのか不明に
 国際宇宙ステーションに最初の設備が取り付けられた日本の有人宇宙施設「きぼう」の愛称を考えた一般の応募者132人の名簿を宇宙航空研究開発機構が廃棄してしまい、名付け親が誰なのか分からなくなっていることが22日、明らかになった。

 2005年4月に全面施行された個人情報保護法を受け、名簿を処分してしまったためで、これまで衛星などの名前を公募したときに恒例となっていた、名付け親を打ち上げに招待するイベントすら開催できず、宇宙機構は困惑している。

 愛称は1999年、当時の宇宙開発事業団が公募し、2万227通の中から、選考委員の漫画家の松本零士さん、宇宙飛行士の向井千秋さんらが「きぼう(KIBO)」に決めた。

 宇宙機構によると、これまで愛称の応募者名簿は問い合わせに備え、打ち上げまでは保管されてきた。きぼうの場合、03年に宇宙開発事業団から宇宙機構に組織改編された後も、応募者の名前や住所、電話番号などを記した名簿は保管されてきたが、同法施行を機に処分された。

 同法に、こうした名簿を処分するよう義務付ける規定はなく、独自の判断で行われたという。処分に伴う個人情報の流出の恐れはないとしている。

 今後、応募者本人から問い合わせがあった場合にも、本人確認ができないため、日本の有人宇宙開発史上初の試みでありながら、名付け親は歴史に名を残せないことになる。宇宙機構は、今後、愛称公募などを行った際の名簿の扱いについて、見直しを迫られそうだ。

(2008年3月23日03時03分 読売新聞)

個人情報保護法による「過剰反応」の一例だ。こんなことをしていると、貴重な事実が失われてしまう。下の記事も「読売新聞」からだが、

全電子情報を保存、国会図書館も対応促進…自民委が提言案
 自民党の「u―Japan特命委員会」(小坂憲次委員長)がまとめた、国立公文書館国立国会図書館の公文書や資料、蔵書などの電子情報化を促す提言「『デジタル文明立国』に向けて」の原案が21日、明らかになった。

 電子情報化した公文書などをインターネットで公開し、国民が手軽に活用できるようにするのが狙いで、近く福田首相に提出する。

 提言では、国立公文書館について、パソコンなどで作成・保存された電子公文書が今後急増することが予想されるとして、法整備を含めた管理体制の確立や情報公開推進を求めた。

 国会図書館に関しては、国内のホームページ(HP)情報をはじめ、あらゆる電子情報を後世に残していくことを提案した。

 同図書館は現在、国内のHP約2100サイトを保存しているが、米国(約3万7000サイト)などと比べ、取り組みが遅れている。このため、〈1〉政府情報、学術情報など公共性が高いもの〈2〉国政審議、調査、研究など公共目的での利用が見込まれるもの――については、特に収集・保存を急ぐよう促した。

 提言では、情報の地域間格差解消に向け、国会図書館と各地の図書館をネットワークで結び、資料や蔵書を相互利用できるようにすることも盛り込んだ。将来的な課題として、電子情報を収集・保存する専門の機関「国立デジタル・アーカイブ」の設置を検討することも提唱している。

(2008年3月22日03時09分 読売新聞)

「全電子情報」が、「個人情報保護法」によって蚕食されないように望む。