現代科学の直面している諸問題の解説書。著者は電子工学を専門とする京大名誉教授。実験結果の捏造問題、ピアレビューのはらむ問題、科学と社会の関係、人材育成(ポスト不足)といった問題が扱われる。主として理科系の話題で、文系の置かれた環境とはかなり違っている側面がある(文系ではさほど研究費がなくても研究は不可能ではない)が、21世紀の知の重点が、物理学・化学から生命学・文化学の方に移るという最終章の仮説が正しいとするならば、文化を扱う学問にとっても他人ごとではない。悪くすると、狭い意味での理科系的な研究に席捲されてしまうかもしれないからだ。
