脳男

おもしろいと聞いていたので読んでみたが、私の感想は「?」である。舞台は中部地方第二の都市の「愛宕市」で、東海道新幹線も通っていると書かれているから、浜松か静岡を想定すればよいのか。連続爆破犯の逮捕の現場で捕らえられた、自我や感情に障害のある「脳男」が一応の主人公。だが、探偵役の茶屋警部や鷲谷真梨子医師を初め主要な登場人物はみな変で、リアリティが全く感じられず、感情移入ができない。たとえるなら、幼稚園児のけばけばしいお絵かきがそのまま小説の登場人物になった感じで、それぞれ個性はあるが、みなおかしく、全員が脳男、脳女のようだ。これをわざと行っているとしたら相当な手練れだが、私は単に下手くそな小説なのではないかと思う。

脳男