欲望のあいまいな対象

ルイス・ブニュエルの遺作。話の筋としては複雑ではない。七年前に妻を亡くした初老の男(ブルジョアジーの密かな愉しみにも出ていたフェルナンド・レイ)が、女中として雇った若い女に夢中になるのだが、女は男を愛しているのか、愛していないのか、思わせぶりな態度を取ったりするりと逃げたりと、男はひたすら翻弄されてしまう。最初のシーンで、男は電車に乗ろうとする女に、怒ってバケツで水をかける。で、それに驚く電車の同じコンパートメントの人々に、これまでの彼女との関係を遡って語ってゆく、という語り口。若い女は、なんと「二人一役」という思い切った手法が使われているが、違和感はさほど感じない。ただ、入れ替わったときのちょっとギョッとする程度。
もう一つ、裏のテーマに「テロ」がある。各所でテロリストの爆弾が爆発したり、事件が起きたりする。これがどこまで本筋と絡んでいるのかは、私には今ひとつ分からないが、話のスリルを盛り上げていることは確かだ。

欲望のあいまいな対象(1977) [DVD]

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漢語漢字の研究

漢語漢字に関する専門書で、はっきり言って退屈な個所も多いが、たまに興味深いところもあって、最後まで読んでしまった。例えば、「立派」という熟語はもとは「立破」であった、とか、「馬鹿」は「破家」であった、とか、「兎角」はもともと、ありえないものの意味であった、など。

漢語漢字の研究

漢語漢字の研究