世界を騙しつづける科学者たち 下

下巻で扱われるのは、二次喫煙、地球温暖化、DDT(レイチェル・カーソンが批判した農薬)。著者たちはいずれも、これらのものが「悪」と科学的に判定されているとし、それに異議を唱える側を批判している。
地球温暖化」については、私は「二酸化炭素が原因で地球が温暖化している」という見方には懐疑的なので、IPCCに盲従する著者たちの態度は納得できない。但し、客観的な科学を金の力で歪めようとする輩がいるのも事実。これは悩ましい問題ではある。
世界を騙しつづける科学者たち〈下〉

メルトダウン

アエラの大鹿記者が、福島第一原発事故後の政府や東電の対応について、細かく取材して書き上げた一冊。これはすごい。ここに書かれていることも、百%の真実ではないだろうが、臨場感たっぷりだ。
いやはや、経産省の官僚たちは、「頭が良く」かつ「頭が悪い」。頭が良いというのは、自分たちの省益、課益、私益のためならいくらでも頭が回るが、「頭が悪い」というのは、本気で国民を守るための頭は持っていない、ということだ。SPEEDI情報の活用についても、「日本の最高学府を出て政府に勤める男たちは、国民の安全に供する当たり前のことに、遂に一度も思い至らなかった」(p.76)。しかし、原発を再稼働させるためなら、政治家やマスコミを狡猾に利用する。また、西山参事官など、電力会社に子弟を就職させている経産官僚も数多い。しかし退職金には貪欲で、「朝日新聞が「更迭」と報じた松下(事務次官)、細野、寺坂の三人は、1000万円程度の割り増し退職金までついて、6000−7500万円の退職金を手にした。さすがに、割り増し分くらいは返上してはどうかと私が尋ねると、寺坂は、「制度がそのようになっていますから」と、消え入るような小さな声で答えている」(p.347)。しかしこの主の恥知らずが、日本では勝ち組なのだ。著者が言うように、原発に責任を持つはずの経産官僚は誰一人として、事故の責任を取っていない。切腹しろとは言わない。退職金は全額返納するか、全額被災地に寄付してもらいたい。3人分で約2億円。ちょっとした事業仕分けよりも大きな額だろう。
メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故