チューリングを受け継ぐ

チューリングの業績を、その経歴とともに紹介する本だが、後半は一転して自作小説となる。しかも「第三部」のみで、前半の部分はホームページで、という異色の構成。素人の書いた小説は、リアリティに乏しいことが欠点になる場合が多いけれど、本書の小説「幻」は、主人公が経験していることが現実なのか、それとも主観的な幻想なのかわからないことがテーマなので、リアリティに乏しいことが欠点にならないうまい物語だ。
http://www1.accsnet.ne.jp/~hosinots/Fictions.html
チューリングを受け継ぐ―論理と生命と死

日本政治の正体

田原総一朗が、戦後の日本政治を振り返る著作。順番がやや変わっていて、年代順ではなく、第一章が小泉純一郎とそれ以降、第二章が田中角栄、第三章が吉田茂・鳩山・岸・佐藤栄作、第四章が中曽根などだが、「立ち回りが大好きなのに、詰めが甘い」小沢一郎などの話も随所に出てくる。さほど目新しい話はないけれど、こうした戦後政治の知識の乏しい学生さんなどには大いに勧められる。
日本政治の正体

レベッカ

ヒッチコックの傑作だが、今まで見過ごしていた。何でこれまで見なかったのだろう。初めに想定した話から徐々にズレて行き、意外な結末が待っている。2時間を越える作品だが、全く飽きさせない。一つ残る謎は、この作品の主人公は、名前の与えられていないヒロインだったのか、それとも一年前に亡くなったレベッカだったのか、ということか。
第三の男/レベッカ [宝島シネマパラダイス・2枚組] (<DVD>)