加藤和彦氏が自殺。まだ62歳というのも意外。グループ・サウンズ時代のことはよく知らないが、歌謡曲の作曲家として身近に感じていた存在だった。竹内まりやの「戻っておいで 私の時間」や「ドリーム・オブ・ユー」、岩崎良美の「愛してモナムール」や「どきどき旅行」などが私の好みの曲だった。確かに最近は動静を聞かなかったし、奥さん(作詞家の安井かずみ)を亡くしてからは厭世的になっていたのかもしれない。合掌。

シュリンキング・ニッポン

人口減少社会を迎え、都市をどのように作ってゆくのかという問題に対して、建築家の大野秀敏氏が「ファイバー・シティ」を提唱する著作。といっても単著ではなく、途中には建築家を中心としてさまざまな人々による「運動」などの事例がはさみこまれている。「東京ピクニッククラブ」って、いいなあ。
「ファイバー・シティ」というのは、別段光ファイバーを張り巡らせた情報都市の意味ではなく、ここでの「ファイバー」は繊維のこと。もちろんメタファーなのだが、簡単に言えば、公共交通機関を中心として、徒歩圏で町を構築し、それ以外の所は緑に戻そうという考えで、大いに共感できる。
シュリンキング・ニッポン―縮小する都市の未来戦略

ストリートの思想

80年代から現代までの思想の流れを、ストリート系を中心に概説するもので、ガタリの「東京横断」、「EP−4」や「じゃがたら」といったバンド、カルチュラル・スタディーズの隆盛と変容、「素人の乱」などが、分かりやすい言葉で描かれる。渋谷区の宮下公園を有料化し、命名権をナイキに売る話が進行しているとは知らなかった。確かにその方が行政はお金を節約できるが・・・公園での「反乱」を恐れているのだな。
ストリートの思想 転換期としての1990年代 (NHKブックス)