「自由」の条件

大澤真幸教授の「自由論」。自由を「消極的自由」(他者からの干渉の欠如)と「積極的自由」(自己支配)に分けたのはルッジェロやバーリンだが、「消極的自由」が相当に実現したと見られる現代社会において、なぜ人は自由をさほど感じられないのか、というのが主要なモチーフ。リベラリズムを徹底すると、人々に「普遍的な正義などない」という考えが浸透し、却って「なんでもあり」「狭い共同体の中で何を信じようが自由」という「多文化主義」へと回帰する。リベラリズムの最大の敵である多文化主義は、リベラリズムの徹底が生んだ鬼子であった、という矛盾。ここのところが、一番のよみどころか。オウム真理教なども、その観点から読み解かれている。
さまざまな文学作品や映画などから例を引いている。その選択はある意味恣意的で、「突っ込みどころ満載」とも言える。私は野球はほとんど知らないのだが、江夏と落合の対決の話はおもしろかった(おそらく山際淳司氏の著作の受け売りなのだろうが)。江夏が落合を見逃し3球三振に打ち取ったとき、江夏は落合が「天才」へと成長したことを知った。「この一球」を待って、他のボールを全て見過ごすことができるのが天才だと言うのだ。
<自由>の条件

嫌われ松子の一生

先日の福田首相辞任劇でテレビ放送が中断され、気になっていたのでレンタルで借りた。エンターテイメントとしてはなかなかよくできている。

嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]

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