都市と消費とディズニーランド

この単行本の元になった論考は雑誌『思想地図』で読んだはずなのだが、忘れていることも多く、新鮮だった。ショッピングモールとは郊外型のものばかりでなく、六本木ヒルズ東京ミッドタウンも立派なショッピングモールであること、ショッピングモールの思想にはディズニーや、グルーエンやハワードの「田園都市」思想などもかかわっていること、悪者にされがちなショッピングモールが確かに人々の欲望に応えていることなどが語られる。映画「シザーハンズ」は私も公開時に見たが、その時にはあれがニュータウン批判だとは気付かなかった。

ネット時代の地方自治

住民基本台帳ネットワークや、平成の大合併に関わった総務官僚(神戸市の副市長も歴任しており、現在神戸市長選挙にも立候補中)が、地方自治について語る。良くも悪くも官僚が書いた本、という感じ。法律に関する部分に間違いはないのだろうが、社会風潮に関する記述は浅薄かつ通俗的でつまらない。選挙に絡んでのことだろうが、橋下徹の名前を出さずに相当辛辣に批判している(それでも著者の方が、維新系の候補者よりはかなりマシだとは思うけれど・・・)。
平成の大合併の箇所で、東京や大阪、神奈川で合併が進まなかったことが書かれているが、これは著者がむしろ責任のある所なのだから、もう少しやりようがなかったのだろうか。平成の大合併は、弱いものいじめの様相を呈していたと私は思う。公共交通が発達している東京や大阪、神奈川の自治体は、3市か4市くらいにまとめてしまったって良いくらいだ。