中心は柳田国男批判。柳田の南島論が、日韓併合という植民地主義への関与を消去・忘却したかったからではないのか、「北海道」と「韓国」とを排除することで「南島イデオロギー」が成り立っているのではないかと、厳しく糾弾する。最初の方の章では、折口信夫については多少肯定的だが、後から追補された部分では、折口にも厳しい批判がなされる。そのほか、金田一京助のアイヌ語学への批判も厳しい。金田一はフィールドワークなど全ほとんどせず、知里幸恵・真志保らへの聞き取りのみに頼る「安楽椅子探偵」なのである(足で証拠を集める金田一耕助とは偉い違いだ)。