条件なき大学

ジャック・デリダ晩年の大学論。1998年、スタンフォード大学での講演を基にしたもの。デリダというと、斜に構えている学者という印象があったのだが、本書では、言葉遊びなどは含まれているものの、大学への危機意識および提案がストレートに語られている。本文は70ページほどで、後半は訳者による解説。デリダが大学教員としては傍系で、「伝統的な大学制度の門外漢」だということも、初めて知った。
条件なき大学―附:西山雄二「ジャック・デリダと教育」

πの歴史

昔、中学生のころ、野崎昭弘「πの話」を読んだが、その参考文献の筆頭がこの本だったか。古代から、ニュートンオイラーを経てコンピュータ時代までの人類の「π」研究史が描かれている。著者のベックマンはチェコ出身の物理学者で、反共(および反キリスト教)的な意見がちょくちょく挟まれている。米国インディアナ州で1897年に、数学的にはでたらめな法案(π=9.2376・・・とする)があやうく議会で可決しそうになったという話が17章に出てくるが、現在でも進化論に反する教育をしている州があることを考えると、あながち過去の愚かな事例と笑ってられない。
πの歴史 (ちくま学芸文庫)

ブジェチスラフ・ポヤル

チェコアニメの代表格の一人と言っていいポヤルについての解説書。私もチェコアニメ映画祭などでポヤルの作品はいくつも見た。こんな本まで日本で出るのはありがたい(64ページで1575円という価格は高めだが)。
ブジェチスラフ・ポヤル チェコアニメ芸術を高めた手仕事