「歹」(ガツへん、もしくはいちたへん)は、ただでさえおそろしい字の集まりです。「骨」や「咼」の上部と共通し、要するに人骨から出来た象形文字のため、このヘンを含む文字は、「死」とか、「殉」とか、「残」(もともとは、バラバラになった骨が残っていること)とか、「殲」とか、おどろおどろしい文字が目白押しです。
仲でも、「列」がこわい。
実はこの「列」は、もとの字体はこうではなく、「歹」の上に縦棒三本がついた形だった。JISにないので表示できませんが、「髪の毛が残った人骨」だそうです。その音が「レツ」なので、「列」の系列の字はだいたい「レツ」に類する音です(例、烈、冽、裂、迾、姴など)。
しかし、そのおそろしい部分を持っているJIS漢字が一つだけある。そう、新常用漢字にも入る可能性の高い、「挨拶」の「拶」なのですよ。この「拶」の字を見るたびに私は、髪の毛のついたしゃれこうべを思い浮かべます。なんておそろしい字なのでしょうか。
あ、丸谷才一の著書(「挨拶はむずかしい」「挨拶はたいへんだ」)等とは関係ありません。

数学おもちゃ箱

難易度は大学初年度程度か。著者は千葉大学の教授。第一章は整数論、第二章は「結び目」論で、「ライデマイスター移動」「ドウカーの表示法」「タングル」「コンウェイの有限結び目」「ジョーンズ多項式」といった聞きなれない用語が頻出する。連分数表示が出てくるところは第一章とつながっている。第三章はその連分数が主役で、とくに無理数の連分数表示が興味深い。第四章は母関数論で、フィボナッチ級数ゼータ関数が出てくる。第5章は複素一次分数変換など。第六章は、和歌の本歌取りが話題で、本歌取りをいかに数学研究に応用するかというお話。
数学おもちゃ箱

沖縄の都市と農村

文部省の科研費による研究をまとめたものだが、研究自体は1990・91年度に行われたものなので(本の出版は95年)、残念ながらややデータとしては古くなってしまっている。けれども、当時の問題が解決されたわけではなく、ある意味ではさらに悪化している(たとえば那覇都市圏への一極集中)ので、参考になる点も残っている。特に、那覇大宜味村に焦点を当てている。
沖縄の都市と農村