エンデの遺言

これも遅ればせながら読んだ。NHKの番組をもとにした書籍。私の若いころ、ファンタジー作家と言えばエンデだったが、今の若者はどうなのだろう。やっぱりハリポタなのか。さて本書では、エンデが『モモ』などでこだわっていた、現代の金銭中心の経済システムの持つ背理が語られる。とりわけ、利子というシステムが、生命系の成長とはあい入れないとするマルグリット・ケネディ(『利子ともインフレとも無縁な貨幣』)が頭に残る。もちろんゲゼルも出てくる。地域通貨の欧州での実践例も興味深い。
エンデの遺言「根源からお金を問うこと」

世界飛び地大全

名著「国マニア」の吉田一郎氏の著作。そのタイトルに恥じず、世界中の「飛び地」についての知識が満載である。飛び地は植民地政策が生み出したものが多いが、それ以外にも、宗教が原因だったり、はたまた領主の気まぐれに近いような行動で生まれたものなど、さまざまなバリエーションがあって飽きさせない。西ベルリンについても、つい忘れがちな事実(例えば、西ベルリンは西ドイツ領ではなく英米仏の3ヶ国占領地域)をきちんと思い出させてくれる。なお著者は最近、さいたま市議会議員に当選し、さいたま市からの大宮の独立運動を行っているらしい。
世界飛び地大全―不思議な国境線の舞台裏 (国際地理BOOKS (VOL.1))