テレビでは昨日から盛んに、ライブドアの忘年会の「流出テープ」が流されている。まさに「汎映像社会」だ。どこにでもカメラがあり、ふとしたきっかけでそれがマスメディアやインターネットを通じて広く流れる。
見るともなしに見ながら、私はふとリクルート事件のことを思い出していた。いまの若い人は事件の存在そのものを知らないかもしれない。リクルートの江副会長が、値上がり確実なリクルートコスモスの未公開株を、政界や官界などの有力者に配った贈収賄事件だ。
もちろん、ライブドアリクルートには相違点がたくさんある。リクルートの江副会長が「気配り」によって政界などへの根回しをしたことに対して、堀江社長の場合には、時価総額をテコに「敵対的買収」でさまざまな企業を吸収してきた点だ。また、江副氏はさほどメディアには(特にテレビには)露出しなかったが、堀江氏はテレビにもどんどん出て、「ホリエモン」というキャラクターを確立した。
だが共通点も多い。情報産業であること(そして、既存のメディアに警戒されたこと)、若者中心の「いけいけどんどん」の会社で社員の在職期間も短いこと、などだ。無料のメディア(まあ広告メディアだな)の多用、いいかえると、ジャーナリズムの軽視も、共通点かもしれない。


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マスメディアによる「新興メディア潰し」も、十数年たっても変わっていないな。例えば朝日新聞の「恥部」を知りたければ、わが友・駄場裕司さんの本を読むことをお奨めする。

大新聞社―その人脈・金脈の研究 日本のパワー・エリートの系譜