マックス・ヴェーバーの哀しみ

なにやら「理髪店主のかなしみ」(ひさうちみちお)のようなタイトル。著者は、ウェーバー「プロ倫」論文の、文献学的な間違いを厳しく糾弾し、ウェーバー学者たち(特に折原浩氏)を恐慌に陥れた羽入辰郎氏。マックス・ウェーバーは、母親の愛を求めて、好きでもない学者という仕事に就き、そのために精神を壊したというのだから穏やかではない。ウェーバーバニヤン天路歴程』からの引用部分を改竄したことを論じた部分は詳細を極めているが、それ以外の部分は、妻だったマリアンネの手記に頼る部分が多く、推測にとどまった感がある。
マックス・ヴェーバーの哀しみ―一生を母親に貪り喰われた男 (PHP新書)